累犯障害者

累犯障害者 (新潮文庫)

累犯障害者 (新潮文庫)

障害者による犯罪について深く取材をして書かれた本。


普段あまり触れる事がなく、タブー視されがちな障害者による犯罪の実態について深く切り込んでいる。筆者は、元国会議員で、秘書の給与に関する詐欺事件で投獄された経験があり、獄中で障害者である入所者の世話を任されていたこともあって、彼ら・彼女らの生の姿をとてもリアルに描写することに成功していると思う。


今扱っている国選弁護事件の関係でこれに近い案件を扱っていることから何となく手に取ったのだけど、淡々とした語り口ながら福祉行政・矯正行政の問題点が浮き彫りになっており、稀に見る良書だと思った。


弁護士の立場からは、特に障害者の刑事弁護をするにあたっては、単にその裁判限りで済ませるのではなく、出来る限り福祉につなげる努力をしないといけないということがよくわかる。再犯を防ぐというのは、裁判で有利な判決を勝ち取るというのと同じくらい重要で意味のある仕事と思われる(実際やってみると、非常に難しいことではあるけれど・・・)。