「教師の心得」に感動した。

ある大学で教えている先生のブログで、その先生がアメリカの大学院で教わったという「教師の心得」についてのレジュメが素晴らしかったのでご紹介。


1 君が教えようとしていることは、「とても大切でとても面白い」ことを決して忘れないようにしなさい。また、それを学生に伝えることも忘れてはいけない。


2 君は、君のクラスにいる学生よりも賢いわけではない。学生よりも「いいひと」なわけでもない。君は、たまたま学生がまだ持ち合わせていない情報をいくらか知っているだけだ。そして学生たちは、君がまだ知らない情報を山ほど知っている。


3 教師として、君は情報を売ろうとしている。あらゆるセールスマンと同じように、君は客の興味を引きつけ、保たなければいけない。さもなくば売れる見込みなんかない。役に立つことなら何であろうと利用しなさい。声、ジェスチャー、黒板、ハンドアウト、パワーポイント、漫画、アナロジー、メタファー、何でも、だ。あらゆる手段を尽くして、何とかして学生と繋がりなさい。


4 学生たちはよい授業を受けるために大金を払っている。よい授業を彼らに与えるのは君の義務だ。授業の日、君は疲れているかもしれない。何かに腹が立っているかもしれない。気がかりなことがあるかもしれない。しかし、君のクラスの誰一人として、それに気付いてはならない。君が頭が痛いからとひどい授業をやったとしても、彼らが授業料の払い戻しを受けることはないのだ。


5 自分に合ったスタイルを築きあげなさい。他の先生に合っているスタイルが君に合うとは限らない。


6 学生にとって近付きやすい存在でありなさい。物理的にも、精神的にも。学生の名前を覚え、名指しなさい。教室には授業開始数分前に着き、授業終了後もしばらくそこに留まりなさい。その数分間に雑談することは、しばしば学生の理解のターニングポイントになる。


7 しかし決して授業を延長してはいけない。特に学部の授業では、チャイムが鳴った後に君が話す内容は、全く存在しないのと同じです--君がどれだけ完璧に話したとしても。


8 どんなことであっても、それをまだ知らない者にとっては難しい。これを繰り返し思い出しなさい。君は既に何かを知ってしまっているから、それが簡単に思えるのだ。


9 「無知」と「愚かさ」は決して混同してはいけない。何があっても。


10 教師の基本ルール:もし学生が理解できないのであれば、それは学生のせいではない。これは当たり前に思えるが、驚くほど忘れ去られやすい。


11 もし学生が理解できず、それが学生のせいであるのならば、10を見よ。


12 昔、自分の師匠に「悪い学生はいない、いるのは悪い教師だけだ」と聞かされたことがあります。多分これは完全に真実ではないのだろうが、しかし間違いよりは真実にずっと近い。そして、君は自分の授業において、これが真実であると心底信じているかのように行動しなければなりません。

http://d.hatena.ne.jp/gorotaku/20110908/1315487472


これらは、かなりの部分で、弁護士にもあてはまるのではないかと思う。
弁護士(特に企業法務)に置き換えるとすると、こんな感じだろうか。



1 君がクライアントに伝えようとしていることは、「法的な影響(金額、刑事罰等)がとても大きい」ものであることを決して忘れないようにしなさい。また、それをクライアントに伝えることも忘れてはいけない。


2 君は、クライアントよりも賢いわけではない。クライアントよりも偉いわけでもない。君は、クライアントが持ち合わせていない法律に関する情報をいくらか知っているだけだ。そしてクライアントは、君が知らないそれ以外の情報を山ほど知っている。


3 弁護士として、君は情報を売ろうとしている。あらゆるセールスマンと同じように、君は客の興味を引きつけ、保たなければいけない。さもなくば売れる見込みなんかない。役に立つことなら何であろうと利用しなさい。声、ジェスチャー、ホワイトボード、ハンドアウト、パワーポイント、漫画、アナロジー、メタファー、何でも、だ。あらゆる手段を尽くして、何とかしてクライアントと繋がりなさい。


4 クライアントはよいアドバイスを受けるために大金を払っている。よいアドバイスを彼らに与えるのは君の義務だ。会議の日、君は疲れているかもしれない。何かに腹が立っているかもしれない。気がかりなことがあるかもしれない。しかし、クライアントの誰一人として、それに気付いてはならない。君が頭が痛いからとひどいアドバイスをしたとしても、クライアントが弁護士料の払い戻しを受けることはないのだ(支払わないことはあるかもしれない)。


5 自分に合ったスタイルを築きあげなさい。他の弁護士に合っているスタイルが君に合うとは限らない。


6 クライアントにとって近付きやすい存在でありなさい。物理的にも、精神的にも。クライアントの名前を覚え、連絡しなさい。会議には開始数分前に着き、会議後もしばらくそこに留まりなさい。その数分間に雑談することは、しばしば次の仕事につながる。


7 しかし決して雑談の延長分をチャージしてはいけない。お客さんには、仕事の話の後に君が話す内容は、全く存在しないのと同じです--君がどれだけ完璧に話したとしても。


8 どんなことであっても、それをまだ知らない者にとっては難しい。これを繰り返し思い出しなさい。君は既に何かを知ってしまっているから、それが簡単に思えるのだ。


9 「無知」と「愚かさ」は決して混同してはいけない。何があっても。


10 弁護士の基本ルール:もしクライアントが理解できないのであれば、それはクライアントのせいではない。これは当たり前に思えるが、驚くほど忘れ去られやすい。


11 もしクライアントが理解できず、それがクライアントのせいであるのならば、10を見よ。


12 昔、自分の師匠に「悪いクライアントはいない、いるのは悪い弁護士だけだ」と聞かされたことがあります。多分これは完全に真実ではないのだろうが、しかし間違いよりは真実にずっと近い。そして、君は自分のサービスにおいて、これが真実であると心底信じているかのように行動しなければなりません。


「人気ブログランキング」及び「にほんブログ村」に参加しております。もし気に入って頂けたら、1クリックして頂けると大変励みになりますm(_ _)m

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村