アメリカのローファームと日本の法律事務所の違い③(プロボノ活動)

アメリカのローファームと日本の法律事務所の違い①(業務の専門化)
http://d.hatena.ne.jp/shinmai-lawyer/20120105/1325718795


アメリカのローファームと日本の法律事務所の違い②(組織と経営)
http://d.hatena.ne.jp/shinmai-lawyer/20120107/1325866433


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前回書いたように、アメリカの中規模〜大手の企業法務系のローファームは、日本に比べてより組織化されており、「経営」を重視していると思うのですが、他方でプロボノ活動(公益活動)にも力を入れているように思われます。


全米のローファームをさまざまな側面からランキングするサイトなどでは、プロボノ活動の活発さがひとつの基準となっており、ローファームを評価する物差しとして、そういった社会貢献の度合いがあるようです(ただ、評価する主体が、ローファーム内部のアソシエイト等の場合と、外部のクライアント等の場合があり、特にクライアントから見た場合に、プロボノ活動の度合いがどの程度評価に繋がっているのかは不明ですが)。事務所内でもプロボノ活動を奨励する仕組み(イントラサイトやメーリングリストでのプロボノ先の紹介や、プロボノの成果の広報活動等)があります。


日本でも、もちろん弁護士の社会的使命として公益活動が行われておりますが、日本の場合主に弁護士会が主体となって、各種委員会活動や刑事弁護等の形で公益活動が行われる場合が多いのに対し、アメリカでは個々の弁護士ないしローファーム主体で行われているという印象です。また、日本の場合、特に中規模〜大手の企業法務系の事務所では、あまり公益活動への貢献度合いが積極的にアピールされていない(事務所の外からの評価の尺度ともされていない)ように思われるのに対し、アメリカでは企業法務系のファームであっても、プロボノ活動が比較的積極的に推奨され、またリクルートの際やクライアント等へのアピールの材料ともなっているようです。