(追記あり)楽天市場・チュッパチャプス判決/ネットショッピングモール上での商標権侵害の放置についての運営元の責任/知財高裁判決

日経新聞より。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E3E6E2E0EB8DE3E6E2E0E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

商標を無断使用したグッズがネット販売された場合に、取引の場を提供したネットモールの運営元が商標権侵害の責任を負うかが争われた訴訟の控訴審判決が14日、知的財産高裁であった。中野哲弘裁判長は「侵害を容認、放置すれば運営元にも責任が生じる」との判断を示した。ネット通販での商標権侵害を巡り、モール運営元にも責任が生じうることを認めた判決は初とみられる。

(略)

 中野裁判長は、今回の訴えについては商標権者の指摘から商品が削除され、問題は是正されたと判断。差し止めや損害賠償請求を退けた一審を支持し、商標権者側の控訴を棄却した。

 原告は、棒付きキャンディー「チュッパチャプス」の商標を管理するイタリアの企業。ロゴが無断使用されたマグカップや帽子などがネットモール「楽天市場」で売られているとして、運営する楽天に侵害差し止めと賠償を求めていた。

(略)

 一審・東京地裁判決は「販売主体は出品者で、楽天は当事者ではない」として請求を棄却し、原告側が控訴していた。


(MSNの記事)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120214/trl12021421030006-n1.htm


(追記)
判決文を入手できてないのでコメントしづらいところですが、ちょっとだけ。

紙面を読む限り、ネットモール運営元にも一定の場合に責任を認めうる判断をした点で画期的ですが、しかしそうなるとネットモール運営元に侵害かどうか判断する負担を負わせることになるので、ちょっと酷な場合もありうるのかなと思います。必ずしも侵害が明白な場合だけとは限られないでしょうし、無断使用かどうかも判断が難しい場合もあるかもしれませんし。どういう場合に責任が生じるのかというのは、今後の判例の蓄積が待たれるところですが、例えば規約上商標権侵害商品の販売を禁止することや、商標権侵害に基づく削除要請があった場合の対応プロセスを事前に策定・公表すること(何日以内の削除要請先への確認等)等、放置はしないけどネットモール運営元の負担が過度になりすぎない枠組みにする必要があるのかなと思います。

「場の提供者」の責任というのは、巨大掲示板での名誉毀損・削除要請のケースとか、色々あって興味深いところです。