エディオンに対する優越的地位濫用で排除措置命令及び課徴金納付命令等

エディオンに対する優越的地位濫用で排除措置命令及び課徴金納付命令

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12.february/120216.pdf


(違反行為の抜粋)
エディオンは、遅くとも平成20年9月6日以降,自社と継続的な取引関係にある納入業者のうち取引上の地位が自社に対して劣っている者(以下「特定納入業者」という。)に対し、搬出若しくは搬入又は店作りであって当該特定納入業者の従業員等が有する販売に関する技術又は能力を要しないものを行わせるため、あらかじめ当該特定納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく、かつ、派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく、当該特定納入業者の従業員等を派遣させていた。」


当該特定納入業者の従業員等が有する販売に関する技術又は能力を要しないものという部分に注目しました。


優越的地位濫用ガイドラインでは、


従業員等の派遣を通じて当該取引の相手方が得る直接の利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担」となるかどうか


を、優越的地位濫用該当性の判断基準の一つとしており、


「従業員等の派遣は,メーカーや卸売業者にとって消費者ニーズの動向を直接把握できる,小売業者にとって専門的な商品知識の不足が補われる等の利点を有している場合がある。従業員等の派遣が,それによって得ることとなる直接の利益の範囲内であるものとして,取引の相手方の自由な意思により行われる場合には,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとならず,優越的地位の濫用の問題とはならない。」


と述べています。


搬出若しくは搬入又は店作りであって当該特定納入業者の従業員等が有する販売に関する技術又は能力を要しないものを行わせるというのは、特定納入業者にとって利点がない従業員の派遣に当たり、この基準に引っかかってくるのかなと思います。



なお、山陽マルナカの件では「新規開店等に際し,これらを実施する店舗に商品を納入する特定納入業者に対し,当該特定納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品について,商品の移動等の作業を行わせるため,その従業員等を派遣させていた。」というのが違反行為として挙げられていましたが、これもこの基準に引っかかってくるかと思われます。


こういう相手方の直接の利益にならない従業員の派遣を行わせるのであれば、相手方と内容を明示的に合意した上で、派遣費用も払うというような場合でない限り、優越的地位の濫用に当たるとされる可能性が高いものと思われます。実際問題としては、どういう場合に相手方の直接の利益になるのか(ならないのか)の判断は難しく、ケースバイケースの判断になるとは思われますが、本件は違反になる一つの例として参考になるものと思われます。





・都市基盤整備事業を行う法人が特定の地域において指名競争入札の方法により発注する一定規模以上の土木工事について複数のゼネコンがした受注予定者の決定等に関する合意が,独禁法(平成14年法律第47号による改正前のもの)2条6項所定の「不当な取引制限」に当たるとされた事例において、原判決を破棄する最高裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82009&hanreiKbn=02

破棄自判。判決読めていないのでメモのみ。